英語を上達させるのに
『本を読む』というのは
作戦として正しいと思うんですが、
「でも辞書を引くのが面倒」
という学習者に対し
「辞書なんてひかないで
読み進めちゃえば大丈夫!」
みたいなことを言う方って時々
いらっしゃるじゃないですか。
僭越ながら一言
申し上げてよろしいですか?
貴様は英語は得意かもしれんが
教育および学習希望者の
意欲向上支援は下手だ、
口をつぐんで黙っとれ。
我々英語初級者が
『辞書を引く』のは
『そうしないと
何もかも理解不可能』
だからなんだよ!
「わからないところは
読み飛ばしちゃえば
いいんだよ」って
それだと全文・全ページを
読み飛ばすことになるが
お前はそれで責任を
取ってくれんのかい!
映画とかでも同じことを
言ってくる人はいる、
「英語がわからなくても
観ていればなんとなく
面白さはわかるって!」
そんな理屈が通るなら
映画配給会社がなんのために
字幕を用意したり吹き替えを
手配したりしているんじゃ!
お前はどうせ映画を
『なんとなく』で
楽しんだつもりに
なっているんだろ、
こっちは物語なりセリフなりを
理解して味わって知的に
娯楽を楽しみたいんだよ、
求めているレベルが違うんだ
この知的好奇心貧困者!
・・・あっすみません、
言い過ぎました、すみません。
まあこういうことを
言っちゃう方は
概して英語上級者で、
だからある程度
自分の経験に基づいた
発言ではあると思うんですが、
でもこの『わからない点を
保留して前に進む』は
それなりの基礎を
身に着けた人じゃないと
出来ない話なんですよ。
ある程度英語の
素地があるというか・・・
さてここからが本題で
私がこの度読んだ
『No Place to Call Home』。
最初のうち私は
単語帳を作りながら
本を読み進めていたのですが
途中からはまさにこの
『わからない単語は
そのまま飛ばして
続きを読む』読書法を
実践する形になってしまい・・・
理由はいくつかあって、
ひとつは第一章の
途中くらいまで
せっせせっせと
単語を調べていたため
「あ、この単語は
わからない・・・いや、
確か前にすでに調べた」
みたいな事態が増えてきたのと、
ふたつには話が進むにつれ
展開・論旨がある程度
読めてくるというか見えてくるので
前後の文脈から判断して
「この単語はたぶんこういう意味、
100パーセント確信はないけど」
みたいな荒業が
繰り出せるようになる、
しかし待って欲しい、
そういう『荒業』をこそ自分は
嫌っていたのではなかったか?
文章を完全に理解せずに
続きを読み進めることに
いったい何の意味がある?
・・・そうです、
ここが大事なのです、
あのね、この本、基本的に
私にとって『ものすごく
面白かった』んです、
ページを繰る手が
もどかしい程に・・・
辞書をひく時間が
惜しい程に・・・!
だからもうとにかく
その面白さに引きずられるままに
一区切り・一段落を読み進み、
改行やパラグラフの終わりが
来たところでいったん手を止め
『わからなかった単語』の
意味を調べるというか
確認するというか。
いえ、『なんとなく』で
一段落を根性で読み進めると
恐ろしいことにその
『わからない単語』の
『なんとなくの意味』が
わかる感じになるんですよ。
たとえばですね!
『eviction』という単語が
出てきて意味が分からなくて
それでも話の続きが気になるから
そのままにして読み進めると
「地域住民は新入植者の
evictionを強く求めた」
「新入植者にとって
強制的evictionは恐怖であった」
「行政はevictionを
実施するにあたり
どの程度の強制力の
行使が許されるのか
議論を進めた」
「仮にevictionが実行されたら
その後新入植者は
どこに住めばいいというのか」
・・・このあたりで
『eviction』は『排除』とか
『追放』とかの意味だな、と
あたりはつく、けれども
一応念のため辞書を引くと
『立ち退き』、みたいな。
で、こういうことを
続けているとだんだん
勘が冴えてくる実感があり
本も中盤になると
「わかる!わかるぞ!」と
脳内のアムロ・レイが
興奮して叫び始める。
・・・幼児向け・
子供向けの本を卒業し、
もう一段階内容が
難しくなった本を
読み始めた頃って
こういう読み方を私は
日本語でもしていたな、と。
まあ私もなんのかんので
もう英国に滞在して
十年以上ですから
英語に関して
『ある程度の基礎』は
持ち合わせていたというか・・・
持ち合わせていなかったら
それはそれで大問題。
ですからこういう
『なんとなく読み進める』形で
英語を学びたいのなら、
まず大切なのは『自分にとって
面白い本を探すこと』ですよね。
そういう『面白い本』の
英文の難易度と自分の語学力が
うまく均衡した時にこそ
経験できる読書法がある。
このたび私は幸運でした。
『No Place to Call Home』の
面白さについては明日。
お帰りの前に1クリックを
↓